記録として残しておく <令和元年台風19号・ダムの緊急放流>

台風19号

 令和元年10月12日(土)午後7時ごろ、台風19号伊豆半島に上陸し、各地に被害が及びました。昭和33年に上陸した狩野川台風以来、非常に大型の台風です。狩野川台風では死者、行方不明者が1,269名という甚大な被害が出ていたようです。

 当時と現在の防災対策は大きく異なることは思いますが、警戒は必要です。幸いなことに自分が住んでいるところは、土砂災害警戒区域でも洪水浸水想定区域でもありませんでしたが、広域避難場所の確認をしつつ台風の状況を見ていくことにしました。

ダムの緊急放流

 普段見ないテレビでも、こういう時には安定のNHKを見ます。台風や地震のような災害時には、ここぞという時にはありがたく見させていただいております。

 被害状況や台風の進路のニュースが延々と続きますが「城山ダムが緊急放流を検討しています」というニュースが飛び込んできました。緊急放流という単語は初めて聞くので、調べてみると次のとおりでした。

 「ダムの緊急放流とは、河川法(昭和39年法律第167号)第14条に基づいて定められた各ダムの操作規則による操作のうち、洪水が予想されるときに行う緊急的な放流のこと」

 台風などでダム周辺の降水量が著しく増加し、貯水量が限界になることが予想されるため、ダムから水があふれてしまう前に放流する、ということです。

 ちなみに、今回緊急放流が実施されたダムは次の5つです。

  美和ダム(長野県伊那市)

  竜神ダム(茨城県常陸太田市)

  水沼ダム(茨城県北茨城市)

  城山ダム(神奈川県相模原市)

  塩原ダム(栃木県那須塩原市)

緊急放流の実施時刻変更の発表

 この5つのダムうち、神奈川県の中央部を流れる相模川の上流にあるのが城山ダムです。今回城山ダムで実施された緊急放流は、昭和40年の建設後初めてだそうです。

 当初、10月12日(土)17時に城山ダムの緊急放流を実施すると発表されていましたが、予想水位が低いために、23時に変更されました。ところが、その後予想水位が急激に上昇したため、22時に予定されていた緊急放流は21時30分に実施することとなりました。神奈川県は、この緊急放流の実施時刻の変更について、次のように発表しています。

 

 神奈川県HPより引用

2019/10/12 21:20
 【城山ダムにおける緊急放流を開始します】城山ダムにおいて午後10時から緊急放流を開始するとお知らせしたところですが、降雨の状況が予測を超えた状況となりましたので、午後9時30分に緊急放流を開始します

 

 一方、実際に洪水浸水想定区域がある市区町村はどのように周知したのか。相模原市を例に見ていきます。

 

 相模原市火災・救助情報ツイッターより引用

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相模原市ツイッター城山ダムの緊急放流

 

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相模原市ツイッター城山ダムの緊急放流2

 

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相模原市ツイッター城山ダムの緊急放流3


実施する側と影響を受ける側

 緊急放流が実施されると、河川がさらに増水し、すでに浸水している地域では被害は拡大し、洪水浸水想定区域以外でも冠水などの被害が出る可能性もあります。実際に、昨年2018年の西日本豪雨で野村ダム(愛媛県西予市)と鹿野川ダム(愛媛県大洲市)の緊急放流により、肱川が氾濫し死者を含む被害が出ました。

 記されている時刻を見ていただくとわかると思いますが、実際に緊急放流が実施される直前に住民に周知されていることがわかります。この時点で、すでに洪水浸水想定区域で避難勧告や避難指示により、住民の避難は完了している場合が多いと思われますが、それでも避難していない人がいたり、洪水浸水想定区域以外でも被害が出る可能性は十分にあります。

 城山ダムから最も近い相模原市の洪水浸水想定区域まで5kmもありません。21時過ぎに発信された緊急放流を聞いた住民が、実際に緊急放流が実施される21時30分までの短い時間でにどれだけの対応ができるか疑問です。

現実的な対応

 今回の緊急放流では、幸い相模川の氾濫はありませんでしたが、今後絶対にないとは言い切れません。緊急放流自体は被害を拡大しないために必要なことですので、これを批判するつもりはありません。ただ、その運用は慎重であるべきなのですが、今回の緊急放流の周知についてはまだ改善の余地はあると思います。

 一方で、今行政が対応できることはここまでであると認識して、住民は現実的な対応を考えておくことは重要です。行政に対して「もっとしっかり周知してほしい」「もっと事前に予想できなかったのか」と思う方も多い思います。確かに、事前周知は徹底すべきですし、水位の予想精度を上げることも必要なこととは思います。しかしながら、災害被害に遭った後に行政に「責任を取ってくれ」ということはできますが、大切な人や大切なものをなくした後にいくら責任を取れと言っても、亡くなった人は生き返りませんし無くなったものは帰ってきません。

 今回の緊急放流は、重要なことを知ることができました。

 「緊急放流は、周知から実施までにほとんど時間的猶予がない場合がある」

 行政の対応の向上を期待すると同時に、自分ができることは何かを考えることも必要になってくるのです。

 「緊急放流が周知されているころには、すでに実施されている場合はあるので、あらかじめ洪水浸水想定区域には近づかない」

 「緊急放流量が多い場合、洪水浸水想定区域以外でも冠水することも想定されるため、低い土地には近づかない」

 想定外の事象が起こった時に、災害は発生するものです。大切な人を守るには、大切なものを守るにはどうしたらいいか、現実的に考えておくことは大切なことです。

 と、ここまで記事が完成した時点(10月14日11:30)で、同じような記事が棒新聞社で掲載されており、二番煎じになってしまいそうで公開を躊躇しましたが、せっかく書いたので記念に公開しておきます(´・ω・`)

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